ブロッケード・ランナー
南北戦争時代を舞台にした冒険物語
第1章 ドルフィン号

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1812年
クライド川で初めて蒸気船コメット号が運航を開始し、グラスゴーとグリーノックの間を時速6マイルで航行しました。

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1862年12月3日
グラスゴーの街に大勢の人々が集まり、ケルヴィン・ドックに向かいました。そこではトッド・アンド・マクレガー社の新造船ドルフィン号の進水式が行われようとしていました。

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ドルフィン号の特徴
1,500トンの大型船で、優れた速度性能を持ち、500馬力のエンジンを搭載し、2つのスクリューを備えていました。
ドルフィン号の謎

船の目的は不明
ドルフィン号の目的地や用途について、誰も正確なことを知りませんでした。

様々な憶測
南部連合国のための船なのか、連邦軍の船なのか、それとも私掠船なのか、人々の間で様々な推測が飛び交いました。

プレイフェア商会の秘密
真相を知るには、グラスゴーのヴィンセント・プレイフェア商会の内部者でなければなりませんでした。
プレイフェア商会について
歴史ある名門
プレイフェア商会は、グラスゴーで最も古く名誉ある家系の一つで、タバコ貿易で財を成した家柄でした。
事業の多角化
タバコ取引から始まり、その後工場や製鉄所を設立し、グラスゴーの繁栄に大きく貢献しました。
冒険的精神
プレイフェア家は先祖伝来の冒険的精神を受け継ぎ、大胆な事業計画に乗り出すことで知られていました。
ヴィンセント・プレイフェアとジェームズ・プレイフェア
ヴィンセント・プレイフェア
50歳の実践的で決断力のある船主。商業的な問題にのみ関心を持ち、政治的な側面には興味を示しませんでした。
ジェームズ・プレイフェア
ヴィンセントの甥で30歳。イギリス商船隊で最も大胆な船長の一人でした。ドルフィン号の建造と装備のアイデアを出したのは彼でした。
ジェームズの大胆な計画
1
計画の提案
ジェームズは叔父のヴィンセントに、1ヶ月以内に200万ポンドを稼ぐ冒険的な計画を提案しました。
2
リスクの説明
船と積み荷、そして乗組員と船長の命がかかっていることを説明しました。
3
南北戦争の影響
アメリカの内戦がイギリス、特にグラスゴーの利益にどれほど影響を与えるかを議論しました。
綿花不足の危機
25,000
織機の数
グラスゴーには25,000台の織機があり、毎日62万5千ヤードの綿布を生産していました。
50M
年間生産量
これは年間5000万ポンドの綿布生産量に相当します。
0
原料の枯渇
原料の綿花が完全に不足し、工場の閉鎖や労働者の失業が相次いでいました。
ジェームズの綿花調達計画

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1

綿花の確保
どんな代価を払っても綿花を手に入れる

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物々交換
商業的な取引として計画を実行する

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南部への武器輸送
南部連合国に武器や物資を運ぶ

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封鎖突破
連邦軍の封鎖を突破して南部の港に入る

5

綿花積載
綿花を積んで帰国する
ドルフィン号の特徴
高速性能
連邦軍の船を振り切るほどの速度を持つ
浅喫水
浅い水域でも航行可能
武装
必要最小限の武装で自衛能力を確保
チャールストン港を目指して

1

目的地の選定
ジェームズはチャールストン港を目指すことに決めました。これまで英国船がこの港に潜入できたことはありませんでした。

2

綿花の豊富さ
チャールストンには大量の綿花が蓄積されており、一部は処分するために燃やされているほどでした。

3

ボーレガード将軍の窮状
チャールストンを守るボーレガード将軍は物資不足に陥っており、ドルフィン号の積み荷に高値をつけることが予想されました。
ドルフィン号の出航準備

1

12月末
クライド湾でドルフィン号の試運転が行われ、時速17マイルという驚異的な速度を記録しました。

2

12月25日
グラスゴー橋のすぐ下流で積み込みが開始されました。衣類、弾薬、食料などが積み込まれました。

3

12月31日
ドルフィン号の準備が整い、出航を待つばかりとなりました。
クロックストンの登場
謎の男の出現
1月2日、がっしりとした体格の男がドルフィン号に現れ、船長と話をしたいと申し出ました。
クロックストンの自己紹介
クロックストンと名乗るその男は、自分を「たくましい船乗り」と紹介し、ドルフィン号への乗船を強く希望しました。
クロックストンの奇妙な要求
甥の同伴
クロックストンは15歳の甥も一緒に乗せてほしいと要求しました。
ジェームズの困惑
ジェームズはこの奇妙な要求に戸惑いましたが、最終的に承諾しました。
乗組員名簿への登録
クロックストンと彼の甥ジョン・スティッグスがドルフィン号の乗組員名簿に登録されました。
ドルフィン号の出航

1

1月3日午前5時
ドルフィン号のエンジンに火が入れられ、出航の準備が整いました。

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見送りの群衆
早朝にもかかわらず、多くの人々が岸壁やグラスゴー橋に集まり、ドルフィン号を見送りました。

3

ヴィンセントの別れの言葉
ヴィンセントは甥のジェームズに「早く行って早く帰ってこい」と励ましの言葉をかけました。
クライド川の下り
1
出航
ドルフィン号はクライド川を下り始めました。
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パートリック村通過
工場地帯を過ぎ、郊外の別荘地帯に入りました。
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レンフルー町
チャンネルの入り口を示す浮標や灯台を通過しました。
4
グリーノック
ジェームズ・ワットの生誕地を通過しました。
アイルランド海へ

カンタイア岬
チャンネルに突き出たカンタイア岬を回りました。

水先案内人の下船
ラトリン島を通過後、水先案内人が下船しました。

アイルランド北回り
ジェームズの指揮下、ドルフィン号はアイルランドの北側を回る航路を取りました。

大西洋へ
やがてヨーロッパの陸地が視界から消え、ドルフィン号は大西洋の大海原へと乗り出しました。
第2章 出航
ドルフィン号の乗組員
ドルフィン号には優秀な乗組員が揃っていました。彼らは戦闘員ではなく、働き者の船員たちでした。彼らは栄光よりも財産を求めていました。
船の武装
ドルフィン号の武装は最小限で、2門の小型旋回信号砲のみでした。
航海の開始

イギリス海域を出る
ドルフィン号はすぐにイギリスの海域を出ました。

大洋航路
大洋航路には他の船影はなく、自由に航行できました。

連邦軍の脅威
イギリス国旗を掲げているため、連邦軍の船から攻撃される心配はありませんでしたが、追跡される可能性はありました。
ジェームズ船長の指示
厳重な見張り
常に見張りを立て、水平線上の船影に注意するよう指示しました。
寒さへの対策
極寒の中での見張りに対し、交代を頻繁に行うよう命じました。
クロックストンの起用
クロックストンを朝の見張り当番に指名しました。
クロックストンと甥の会話
クロックストンの不安
クロックストンは船の揺れに不安を感じていましたが、甥のジョンの前では強がっていました。
ジョンへの励まし
クロックストンは「神を信じなさい、神はあなたを見捨てないよ」とジョンを励ましました。
クロックストンの失態

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見張り台への登攀
クロックストンは不器用に見張り台に登ろうとしました。

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マシュー一等航海士の怒り
クロックストンの不器用さに、マシュー一等航海士は苛立ちました。

3

転落
クロックストンは結局、ロープから滑り落ちてしまいました。

4

正体の発覚
クロックストンの荷物から連邦軍の切手が付いた手紙が見つかりました。
ジェニー・ハリバートの正体
変装の暴露
ジョン・スティッグスの正体が、実はジェニー・ハリバートという少女であることが明らかになりました。
父親救出の目的
ジェニーは捕虜となっている父親を救出するために、ドルフィン号に乗り込んでいたのでした。
ジェームズの対応
ジェームズ船長は驚きながらも、ジェニーに自分の船室を提供しました。
第3章 見かけは当てにならない
乗組員の反応
ジェニーの正体が明らかになると、乗組員たちは驚きと興味を示しました。
クロックストンの役割
クロックストンはジェニーの忠実な召使いであり、彼女の父親を救出する計画を立てていました。
ジェームズとジェニーの対話

ジェニーの説明
ジェニーは父親がチャールストンで捕虜になっていることを説明しました。

父親の背景
ジェニーの父は奴隷制廃止論者で、『トリビューン』紙の編集者でした。

ジェームズの反応
ジェームズは奴隷制廃止論者に対して否定的な態度を示し、ジェニーとの間に緊張が生まれました。
ジェームズの内なる葛藤

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1

ジェニーへの好意
ジェームズはジェニーに惹かれ始めていました。

2

政治的立場の相違
しかし、奴隷制に関する意見の相違がありました。

3

商業的利益
南部との取引による利益も考慮しなければなりませんでした。

4

道徳的ジレンマ
奴隷制支持者との取引と人道的な行動の間で葛藤していました。
クロックストンの策略
1
計画の立案
クロックストンはジェームズとジェニーを引き合わせる計画を立てました。
2
会話の促進
二人が話し合う機会を作り出そうとしました。
3
期待される結果
ジェームズが自発的にハリバート氏の救出を申し出ることを期待していました。
イロコイ号との遭遇

1

船影の発見
見張りが風上に船影を発見しました。

2

連邦軍艦の確認
その船は連邦軍のコルベット艦イロコイ号と判明しました。

3

停船要求
イロコイ号はドルフィン号に停船を求めましたが、ジェームズは無視しました。
イロコイ号との戦闘
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砲撃距離
イロコイ号の砲は3マイルの射程を持っていました。
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ドルフィン号の速度
ドルフィン号は時速17ノットで航行していました。
2
命中回避
イロコイ号の砲撃を2回避けることができました。
ジェニーの勇気
デッキでの様子
ジェニーは砲撃の中、冷静にデッキに留まりました。
ジェームズの驚き
ジェームズはジェニーの勇気に感銘を受けました。
イロコイ号との競争

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1

速度の優位性
ドルフィン号はイロコイ号よりも速く、徐々に距離を広げていきました。

2

砲撃の回避
イロコイ号の砲撃をうまく避け続けました。

3

射程外へ
最終的に、ドルフィン号はイロコイ号の射程外に逃れました。
ジェームズとジェニーの関係の進展
会話の増加
イロコイ号との遭遇以降、ジェームズとジェニーの会話が増えました。
ジェニーの印象
ジェームズはジェニーの冷静さ、強さ、知性に感銘を受けました。
意見の相違
南北戦争や奴隷制について、二人は異なる意見を持っていましたが、議論を重ねていきました。
ジェームズの心境の変化

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1

ジェニーへの好意
ジェームズはジェニーに惹かれていきました。

2

価値観の揺らぎ
ジェニーとの議論で、自身の価値観が揺らぎ始めました。

3

商業的利益vs道徳
商業的利益と道徳的行動の間で葛藤しました。

4

決断の迫り
ハリバート氏救出に関する決断を迫られていました。
第4章 クロックストンの策略
1
計画の立案
クロックストンはジェームズにハリバート氏救出を提案する計画を立てました。
2
ジェームズへの接近
クロックストンはジェームズに近づき、会話を始めました。
3
救出の提案
ハリバート氏の救出をジェームズに提案しました。
ジェームズの反応

怒りの表出
ジェームズはクロックストンの提案に激怒しました。

危険性の指摘
連邦軍の砲台を避けて再び出港することの危険性を指摘しました。

奴隷制廃止論者への嫌悪
ハリバート氏のような奴隷制廃止論者を助ける気はないと述べました。
クロックストンの粘り強さ
諦めない態度
クロックストンはジェームズの怒りにも動じず、粘り強く説得を続けました。
ジェニーへの配慮
ジェニーの父親を救出することの重要性を強調しました。
ジェームズの内なる葛藤

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1

商業的利益
南部との取引による利益を考慮しました。

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ジェニーへの感情
ジェニーへの好意が芽生えていました。

3

道徳的ジレンマ
奴隷制支持者との取引と人道的行動の間で葛藤しました。

4

決断の必要性
最終的な決断を下す必要性を感じていました。
クロックストンの策略の成功
ジェニーへの報告
クロックストンはジェニーに、ジェームズがハリバート氏の救出を承諾したと嘘の報告をしました。
ジェニーの喜び
ジェニーは父親救出の可能性に大きな喜びを感じました。
ジェームズへの感謝
ジェニーはジェームズに感謝の気持ちを伝えに行きました。
ジェームズとジェニーの対面
ジェニーの感謝
ジェニーはジェームズに心からの感謝を述べました。
ジェームズの困惑
ジェームズは状況が理解できず、困惑しました。
ジェームズのジレンマ

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1

真実を告げる
クロックストンの嘘を暴露する

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ジェニーの期待に応える
ハリバート氏救出を約束する

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商業的利益を優先
救出計画を拒否する

4

決断を先延ばし
曖昧な返事をして時間を稼ぐ
第5章 イロコイ号の砲撃とジェニーの主張

1

イロコイ号の再出現
見張りが再びイロコイ号を発見しました。

2

停船要求
イロコイ号はドルフィン号に停船を要求しました。

3

砲撃開始
ドルフィン号が応じないため、イロコイ号は砲撃を開始しました。
ドルフィン号の対応
速度上昇
ジェームズは最大速度で航行するよう命じました。
回避行動
砲撃を避けるため、ジグザグに進路を変更しました。
警戒態勢
全乗組員に警戒態勢を取るよう指示しました。
ジェニーの勇気ある行動
デッキでの様子
ジェニーは砲撃の中、冷静にデッキに留まりました。
ジェームズとの対話
危険な状況下でも、ジェニーはジェームズと南北戦争について議論を続けました。
ジェニーの主張

奴隷制の問題
南北戦争の本質は奴隷制の問題であると主張しました。

人道的側面
戦争は政治的というよりも道徳的、人道的な問題だと説明しました。

奴隷制廃止の必要性
奴隷制は決定的に終わらせるべきだと訴えました。
ジェームズの心境の変化

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1

ジェニーの主張に耳を傾ける
ジェームズはジェニーの意見に真剣に耳を傾けました。

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価値観の再考
自身の価値観や信念を見直し始めました。

3

感情の芽生え
ジェニーへの好意がさらに強まりました。

4

決意の形成
ハリバート氏救出への決意が固まりつつありました。
イロコイ号との競争の結末
1
射程からの脱出
ドルフィン号はついにイロコイ号の射程から脱しました。
2
安全の確保
危険が去り、乗組員たちはほっと胸をなでおろしました。
3
新たな決意
ジェームズは、この経験を通じて新たな決意を固めました。